紀の川の開発

紀の川(上流奈良県では吉野川と呼ばれる)について

紀の川は、日本有数の豪雨地帯紀伊半島大台ヶ原(年間降水量4,500mm以上。日本 全体の平均(1,800mm)の2.5倍以上)から奈良県・和歌山県を136km下り、和歌山市で海に注いでいます。流域には、奈良県吉野川沿岸の河岸段 丘と和歌山県紀の川沿岸の紀伊平野があり、それぞれ農業地帯をかんがいしています。

 

 下流の紀伊平野は大部分が年間1,300mm程度の雨の少ない地帯にあり、また高台の水田・果樹園は水源をため池、渓流水に頼っており干ばつに悩まされ てきました。紀の川には豊富な水量を有しながらも、取水・導水施設が不十分で度々干ばつを被ってきたので、安定した農業用水の供給は農家の永年の夢でし た。一方、奈良県の大和平野は、月夜にも焼けると言われる干ばつ常襲地帯であり、吉野川からの分水は300年来の悲願でありました。

 

 第二次大戦後、焦土と化した国土を復興するため、食糧増産と資源の開発が急務となり、全国12水系における総合開発が計画されました。その中に十津川及 び紀の川が含まれ、大和・紀伊両平野の農業用水不足の解消、水力発電、上水道用水、工業用水の確保を目的に「十津川・紀の川総合開発計画」が一大プロジェ クトとして位置づけされました。

 

 このプロジェクトの具体化が、紀の川・吉野川筋に大迫、津風呂、山田の3ダム築造、十津川に猿谷ダムを建設し紀の川へ流域変更するという水源開発でし た。またダムからの放流による発電事業(実現したのは、猿谷ダムと大迫ダム)でした。

 

十津川・紀の川土地改良事業

国営十津川・紀の川土地改良事業は、猿谷ダム以外の3ダムを築造するとともに紀伊平野の不完全な井堰を統合して取水の合理化を行い、大和平野へは吉野川に下渕頭首工を設け分水を行いました。

 

 和歌山県貴志川沿岸の高位部ため池掛かりは山田ダムによる用水補給を、また、奈良県五条市丹原町で大和丹生川に設けた西吉野頭首工により、猿谷ダムから の発電放流を受けて、橋本市以西、紀の川両岸の高位部ため池掛かりの水田及び果樹園に用水を引き農業用水の補給を行っています。

 

 昭和25年に着手し、30有余年を経た59年度に完了しました。
付帯の県営・団体営事業による水路整備も順次完了しました。

 

 私たちは、紀の川(吉野川)の水資源と先人が築いたこの壮大な水利資産をいい形で次世代に継承して行かねばならないと考えています。大和・紀伊平野がいつまでも豊かであるために。

 

国営二期事業パンフレット-歴史的偉業の継承-より引用

 

↓ 図で見る「紀の川流域の農業水利施設」

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